専門家を招いた研究会・分科会やオープンシンポジウム、その他の「Innovation Nippon」の諸活動において発出された提言書やとりまとめなどをご紹介します。リンクの表示されている各書類は自由にダウンロード頂けます。
Innovation Nipponは、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM) が、グーグル合同会社のサポートを受けて2013年に立ち上げた研究プロジェクトです。情報通信技術(IT)を通じて日本におけるイノベーションを促進することを目的とし、法制度や、産業振興・規制緩和等の政策、ビジネス慣行などに関する産学連携の実証的なプロジェクトを行い、関係機関の政策企画・判断に役立ていただくための提言などを行っています。
近年、フェイクニュースの拡散とそれに伴う社会的影響が世界中で問題になっています。日本でも、ファクトチェックで検証されているニュースだけでも年間100件程度発生していることが分かっています。しかしながら、そのようなフェイクニュースの実態が未だ良く分かっておらず、効果的で持続可能な対策が構築できていないのが現状です。
そこでInnovation Nippon 2019では、日本におけるフェイクニュースの実態・社会的影響・対処策の効果を定性的・定量的に明らかにすることをプロジェクト目標としました。実証研究では、フェイクニュースを約75%の人が信じてしまっていること、拡散手段として「友人・知人・家族に直接話す」が最多であること、メッセージアプリ・メールマガジンの利用時間が長いとフェイクニュースを信じて拡散する確率が高くなること、情報リテラシーが高いとフェイクニュースを信じて拡散する確率が減少すること、SNS・ネットの投稿内容に関するリテラシー教育・研修を受けているとフェイクニュースを信じて拡散する確率が減少すること、政治的フェイクニュースは特に弱く支持している層の考えを変える力を持っていることなどが明らかになりました。
そのような結果を受け、今後のフェイクニュース対策について次の6つの政策的含意を導きました。
1. 日本でも少なくないフェイクニュースが拡散されており、対策が必要
2. 「ネット上の投稿内容に関するもの」など、効果的な教育・研修を普及させる
3. フェイクニュース対策に必要なのは情報リテラシーの向上
4. ファクトチェック結果が多くの人に届くようなサービス提供をする
5. ステークホルダー間連携を促進し、ファクトチェックを実施する
6. 対策はメッセージアプリ・メールマガジンなどにも必要
2019年度の成果が皆様の政策策定に関わる諸活動の糧となり、日本全体のITを通じたイノベーション促進への一助となれば幸いです。
【報告書執筆メンバー】
– 山口真一(国際大学GLOCOM准教授・主任研究員・プロジェクトリーダー)
– 菊地映輝(国際大学GLOCOM講師・研究員)
– 青木志保子(国際大学GLOCOM主任研究員)
– 田中辰雄(慶應義塾大学経済学部教授/国際大学GLOCOM主幹研究員)
– 渡辺智暁(国際大学GLOCOM教授・研究部長・主幹研究員)
– 大島英隆(国際大学GLOCOMリサーチアシスタント)
– 永井公成(国際大学GLOCOMリサーチアシスタント)
【ラウンドテーブルメンバー】
– 青木志保子(国際大学GLOCOM主任研究員)
– 井田充彦(グーグル合同会社公共政策部長)
– 岡本健太(総務省情報通信政策課課長補佐)
– 河野浩二(みずほ情報総研株式会社経営・ITコンサルティング部次長)
– 菊地映輝(国際大学GLOCOM講師・研究員)
– 木村忠正(立教大学社会学部メディア社会学科教授)
– 行徳早織(総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課総務事務官)
– 笹原和俊(東京工業大学環境・社会理工学院准教授)
– 田中辰雄(慶應義塾大学経済学部教授/国際大学GLOCOM主幹研究員)
– 土屋幸輝(総務省情報流通行政局情報通信政策課)
– 中川北斗(総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課課長補佐)
– 中志津馬(みずほ情報総研株式会社経営・ITコンサルティング部 情報通信戦略チームシニアコンサルタント)
– 八田真行(駿河台大学経済経営学部准教授)
– 古田大輔(ジャーナリスト/株式会社メディアコラボ代表/インターネットメディア協会理事)
– 前嶋和弘(上智大学総合グローバル学部教授)
– 楊井人文(弁護士/ファクトチェック・イニシアティブ理事兼事務局長)
– 山口真一(国際大学GLOCOM准教授・主任研究員)
– 渡辺智暁(国際大学GLOCOM教授・研究部長・主幹研究員)
【事務局】
– 小島安紀子(事業管理部課長)
– 武田友希(事業管理部)